日本の社会では急激な少子高齢化が進んでおり、これに伴って介護に従事する人材の不足から老人ホームや特養など高齢者介護サービスを提供する介護業界が疲弊しています。
これらの介護施設では、病院と同じく介護職員による巡回やナースコールなどによって被介護者の異変に対応していますが、人材不足によって介護職員の負担が増えていることが問題になっています。被介護者の居室に見守りカメラを設置することによって、被介護者の状況に応じた細やかな見守りが可能となりますが、居室にカメラを設置することはプライバシーの観点から抵抗感があると考えられます。このため、本プロジェクトでは赤外線アレイセンサを用いることによって、被介護者のプライバシーに配慮しつつ、着実な見守りを可能とするシステム開発を新生電子株式会社と共同で行なっています。
このため、深層学習技術に基づいた骨格推定によって赤外線アレイセンサから得られたシルエットを骨格モデルに当てはめ、これに姿勢推定や行動認識を行うことによって、被介護者がどのような状態か推論する見守りシステムのアルゴリズム研究を行っています。一般の可視光カメラと異なり赤外線センサのデータは多くの画像特徴が失われているため、新たに赤外線データ用の高精度な骨格推定モデルを研究しています。