人の歩き方には個性が出ると言われています。実際、猫背で歩く人や、小股で歩く人、大きく手を振って歩く人、各人の歩く姿勢は様々です。

防犯カメラや見守りカメラにおいて課題となるのが、人物の同一性認識です。なぜならば、これらのカメラは撮影環境や設定画質によって、被写体の顔認識が困難であることが多いからです。

特に、本研究室で鋭意進めている赤外線見守りカメラプロジェクトでは、一般的な可視光カメラの代わりに赤外線アレイセンサを用いることによって、プライバシーに配慮できる一方で、赤外線では顔貌などの個人特徴を捉えることができないため、介護レベルや見守りレベルを個々に設定できるよう、対象者の識別を実現するにはシルエット映像で判別できる同一人の判定技術が求められます。

本プロジェクトでは、可視光カメラや赤外線センサで撮影した映像データをもとに、深層学習技術に基づいた骨格推定によって被写体を骨格モデルに当てはめ、関節部位の推定位置より特徴点を導出し、その時系列での変化をクラスタリングすることによって歩き方に基づく人物認証を行うことを目指して研究を進めています。カメラやセンサで撮影される人物画像は同一方向からとは限らないので、様々な方向から撮影されても変動しない特徴量算出が重要な位置付けとなります。

トレッドミルを用いた歩行実験の骨格推定
特徴点抽出による歩容認証